『予定通り進まないプロジェクトの進め方』を読みました

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QAエンジニア 本郷
2020年01月28日

こんにちは。QAチームの本郷です。
最近気になっていることにマッチしたタイトルを見つけたので読んでみました。

予定通り進まないプロジェクトの進め方
前田考歩,後藤洋平
出版社: 宣伝会議
画像は宣伝会議 Webサイトより引用

プロジェクトは計画通りにいかないもの


プロジェクトマネジメントに行き詰っているみなさまと同じように、私も(全く管理者の立場ではありませんが!)プロジェクトがどうしたらもっとうまくいくのかを考えていました。
この本では、そもそもプロジェクトは計画通りにいかないものだという前提から始まっています。
そして、計画通りにいかない難しさはどこからくるのか、プロジェクト工学の三つの原則として提示されています。

①やったことのない仕事の勝利条件は、事前に決められない
②プロジェクトにおいては、こうあれかしと考えて立案した施策が、想定を超えた結果をもたらす
③プロジェクトの過程における諸施策の結果がもたらす状況は、即座に次の局面における制約条件となり、ときにプロジェクトの勝利条件そのものの変更すらも要求する

こう言われると確かに、プロジェクトが当初の想定通りに進むことがとても困難で、うまくいったかどうかは結局は終わってみないと判断できないんだなと納得できます。
計画通りにいかないプロジェクトを最善の状態で進めていくためには、最初に決めた条件や計画に固執することなく、状況の変化に応じてアップデートしていくことが必要だということも分かりました。

状況の変化を可視化する『プ譜』

プ譜(=プロジェクト譜)とは将棋でいう棋譜のようなもので、刻々と変化するプロジェクトの状況と全体像を可視化するツールです。
上記のとおり、そもそも計画通りに進まないプロジェクトをなんとかして進めていく上では、決められたスケジュールやタスクの管理以外に、変化する状況への対応やこれから起こり得ることを予測するなどの作業も必要です。スケジュールやタスクはWBSなどで管理できますが、状況や環境の変化に対応できるツールはこれまでなかったそうなのですね。そこにフォーカスしたのが『プ譜』です。

プ譜には、「メンバー」「予算」「納期」などの8つの要素と、「勝利条件(ゴール)」「中間目的(勝利条件を果たすための状態)」「施策」を記述します。
施策によってもたらされた結果は「事象」として書き込みます。出来事をありのままに書き込むことで、「あの手もあったのに!」というような可能性を無意識のうちに切り捨ててしまったり見落としてしまうことを防ぎます。
個人的にいいなと思ったのは、プ譜を使った振り返り(将棋にちなんで「感想戦」と表現されています)です。プロジェクトがどんな局面を辿ってゴールへ至ったかが可視化されているので、次への教訓がより具体的に得られそうですね。

また本書では、目の前の一つの施策に固執せず、物事を俯瞰的に見る「観の目」を持つことが大切で、プ譜はその視点を持つためのツールでもあると紹介されています。
QAチームではプ譜でいうところの、品質を上げるという「勝利条件」があり、勝利条件を果たすための「中間目的」や「施策」をあれこれと検討しています。
その際に施策を行うことばかりに囚われすぎて、それ自体が目的化してしまわないように立ち返る必要があると感じました。

プ譜の書き方については、著者の前田考歩さんの記事に素敵な例がありましたのでご紹介します。
『宇宙兄弟』の「ヒビト・ダミアン救出プロジェクト」をプ譜化する

こんな風にお気に入りの作品でプ譜を作って、チームで感想戦をしてみるのも楽しそうですね。問題解決の良いトレーニングになりそうです!

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QAエンジニア 本郷

京都在住でフルリモート勤務のQAエンジニア。元Web系エンジニアでJava使い。子育てのために、より自由度の高い働き方を目指してQAエンジニアへ転職。

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2020年01月28日

       

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